シンセサイザークロニクル SX-150

Overview

UFO型シーケンサー
こだわりのつまみにはさらに白ポチを追加

2007年の秋(9/28)発売と同時に売り切れ店続出となった、大人の科学マガジンVol.17「テルミンミニ」で、電子楽器を身近なものに感じさせてくれた学研、今度は、 同誌の特別編集で2008/7/30に「シンセサイザークロニクル」という別冊を出す。(リンクは告知ページ)
なんと、付録にアナログシンセが付くことになっており、 この別冊のために、緊急特集が組まれている。時系列に付録のアナログシンセが出来上がる様子が語られており大変興味深い(6/9現在まだ、記事の続編が続くようだ)
黒いリボン上のシートをテスター棒でつっくことで演奏する。思いがけず、音程はしっかり出せて楽しい。10分練習すれば、モーツアルトが弾ける。
もちろん、「キラキラ星」って、オチだけど。って、その「キラキラ星」も、実は、オリジナルはフランスの民謡なんだそうで、モーツアルトが変奏曲を書き、それが有名になったという経緯らしい。 このおまけシンセも誰でも知っている「キラキラ星」になって、潜在的なアナログシンセファンをたくさん発掘してくれればいいのになあ、とか、ちと思う。

SX-150

ネーミングがいいね。遊び心をくすぐられる。それはともかく早速パラメーターと操作法を見てみる。

パラメーター 形状 動作
LFO WAVE スイッチ モジュレーション用のLFOの波形を切り替える。矩形波と三角波
LFO RATE つまみ モジュレーション用のLFOのスピードを変える。
LFOはVCOだけをモジュレーションするのでビブラートになる。
左に絞りきるとモジュレーションはカットされる。
Pitch ENV つまみ VCOをEGでモジュレーションする深さを変える。
音が出るときの音程を変える。左に絞りきると何も動作しない。右に回すにつれピュンピュンする音程が高くなる。
ATTACK つまみ EGはADタイプ。このつまみでは、立ち上がるスピードを変える。右に回すにつれ、のんびりしたスピードになる。
DECAY つまみ アタックが最高位きた後、たち下がるのがADタイプのEG。このつまみでは立下りスピードを変える。右に回すにつれのんびりしたスピードになる。
Cutoff つまみ 音色は主にVCFで作る。一番左にセットすると音が聞こえなくなる。右に回すにつれ、甘い音色が、明るい音色に変化していく。
Resonance スイッチ Cutoffの操作で作った音色にもう一味変化をつけるためのパラメーター。オンにすると、さらに明るい音色に変化する。
Power スイッチ 電源スイッチのほか、内蔵スピーカーの音量を2段階に変化させることができる。
EXT.SOURCE 3.5mmジャック オーディオ信号を入れることでその音程にあった音程でシンセが発音する。
テルミンミニを接続することができ、テルミンの演奏法でシンセを鳴らすことができる。
OUTPUT 3.5mmジャック 電源スイッチの音量スイッチとは関係なく、ピークツーピークで、0.2V程度。
決して大きな音ではない。Cutoffの設定によっては音が小さくなりすぎて聞こえないこともある。
電源は単三乾電池4本。小さなスピーカーも付いていて、電源を入れればすぐに音が出せる。

SX-150を使い込んでみる

実は、このシンセ設計されたのは知り合いだったりして。一応、お仕事ということなのか、ズーっとナイショにされてて、ほぼ完成版が出たところで、情報解禁のレベルが1段下がったのか、コアな「アナログシンセ自作マニア」を招いてシンセの設計について、色々語り合うという座談会が催された。光栄にも、僕もその席に招かれ、高田馬場の音楽喫茶 茶箱(早稲田)という喫茶店に行ってきた。
蓋を開けてみれば、いつもの仲間が勢ぞろい。なーんだ、とか言いつつも、集まるのは楽しい。絵的な充実を図るためなのだろうけど、各自、自作のシンセを持ち寄ってね、ということで持ち寄ったシンセ、お互いにがんがん鳴らしまくって、ひとしきり語り合ったところで、学研シンセの登場。
編集部の狙いとしては、アナログシンセを自分で組み立てちゃうような人たちも、納得するような出来のシンセであることを紙面でアピールするのが狙い。っちゅーか、このとき確信したけど、みーんな、付録のシンセがメインかも。いや、少なくとも本誌の編集に負けないぐらいのパワーを付録に投入してるのは感じる。
シンセとしてのデキはどうなのか。付録のシンセなんだから良いわけがない、といってしまえば身も蓋もないけど、実際、SX-150は本当に蓋がない。いや、でも、身はちゃんと詰まってる。なかなかどうして、よくやってるというレベルとしておこう。 いや、負け惜しみ含有率82%ということで。

基板の表側
開けて見ようにももともと蓋がない。ママで中丸見え。とりあえず、ネジはずしてみた。

SX-150は、シンセがシンセ足るに必要なパラメータはどこまで削れるのかという過酷な実験の成果であると言える。pARMの開発も、これと似た戦いの結論とも言えるのだけど、僕の場合は、コストも時間も関係ない、好きなだけ時間を使って、演奏だけでなく設計そのものを楽しんだといえる。
このシンセから、ムシリ取られ、剥ぎ取られていったパラメーターが流した涙を思えば、絶句せざる終えない。そういう生存競争に生き残ったパラメータを見ることでSX-150の性格がみえてくる。上手に演奏できる必要なんかない。音がピヨピヨと変わる。楽しい。とにかく、音を楽しむのに必要なパラメーターだけが残されたといえると思う。
実際、僕自身はそんなシンセはないと思ってるけど、SX-150は、どんな音でも作れる魔法の楽器としてのシンセではない。ただ、音色を変えたり、演奏したりが楽しいシンセにはなっていると思う。
設計をされたGanさんはもちろんだけど、製作に携われたスタッフの皆さん、さらに、SX-150そのものにも、熱い拍手を送りたい。