回路を書いては、ブレッドボードに載せて動作を確認しつつ、最終的な形をイメージしながら作業をするのだけど、このあたりまで来ると、パネルデザインをどうするか、考え始める。もちろん、つまみの数や、機能から、パネルデザインがはじまることもあれば、先にデザインがあって、回路ができたりすることもあるだろう。
歌だって、曲が先か、歌詞が先かってあるじゃない?両方が同時に来るのがベストなんだろうけど、どちらかと言えば、僕はパネルデザインは苦手。ひとつの物を作るには、たとえ単純な改造であっても、色々なテクニックが要求される。地道に何度もやっては失敗して、ノウハウをためていくのがまあ、正しい道なんだろうなあ。
メーカーは筐体のデザイナーや、回路を書く人、組み立ての名人、色んなプロフェッショナルの集合。それが命掛けて作ってるわけで、そんな集団に、アマチュアが夜寝る前に30分づつ、とかちまちまやって勝てるわけがない。
無論勝つつもりもさらさら無い。Monotronの改造からスタートして、メーカーには作れない、自分だけのシンセがありうるんだ、ということを多くの人に知ってもらうチャンスになればと思う。
僕とは逆に、パネルデザインはやりたいんだけど、回路が苦手とかいう方もいらっしゃるだろう。僕が実験レベルの回路を発表するのと同様に、仮想シンセパネルを発表される方が居てもいいんじゃないかな、そのパネルに刺激されて新しい回路の組み合わせを思いついたり、あるかもしれない。netでコラボレーションすることで、メーカーも唸らせるようなシンセができるかもしれない。
パネルデザイン案の一番下は左右が反転している。コレをOHPシートに印刷し、インクの面に白いペンキを塗る。当然スプレーで。それが乾いたらおもてから、裏返して模様の見える側にクリアラッカーを吹いてつやを出す。
穴あけを済ませたアルミケースに、スプレー糊で貼り付けてから穴の部分をカッターで抜いていく。裏になるペンキがペリペリはがれちゃったり、クオリティをあげるのは難しい。メーカーのステキなケースが本当に恨めしいときかもしれない。
パネルデザインしてて、どうも間抜けだな、ここにスイッチひとつ入ると締まるな、とか、デザインの素人ながらに思うわけだ。デザインのために回路追加しちゃうぞと。
本末転倒もはなはだしいのだけど、まさに、これが、自分だけのシンセの醍醐味でもある。
オッショさん(masa921さん)にご指導いただきながら、ボードをよく見てみる。
コレまでの経験から、鋸歯状波がでる発振器を作るとしたら、cを充電して、FET経由でそこにたまっていく電圧を見る。一定を超えたらリセット。という回路だろうな。そのlfoに、鍵盤(ゲート信号)でシンクを掛けてる回路ならわかりやすいな、と。
「一定の電圧を越えたら」の部分はコンパレーターを使うのが自然だけど、部品点数を考えると、このシュミットトリガーのゲートICをコンパレーター代わりに使ってるな、と想像する。オシロでつつきながら、ここにゲートの信号が着てるな、とチェック入れながら、ゲートIC周りの図面を起こしてみた。あくまでLFO部分だけ。よくわからない部分は想像。きっとここで定電流で引っ張れば発振するし、その電流を変えればスピードも変化するはず。
まんなかのFETのソースが出力。リボンのタッチにあわせてGateが変化。C2,R7でゲートをトリガーに変え、Q3,Q4を使ってインバーター(シュミットトリガつき)を使って、Gateがオンになったその瞬間だけQ2をonにし、C1をショートしてこれに溜まった電気を空にする。C1が空になれば見かけ電流が流れるけど、溜まってくると、Cとしての性能(直流をカットする)が生きてきくるので、FETのゲートに見える電位は徐々に下がっていく。コレをR2経由でシュミットトリガーのインバーターに見せる仕掛け。シュミットトリガーは、閾値を超えるまではじっと我慢。入力の電位がそれより下がった時にオンになり、これが、Q1をショートする動作になってまた、電位がガンとあがる。自分で自分のケツをひっぱたくことで発振し続ける。
R2をはずして、回路図中のABののポイントにスイッチをいれれば、リボンがタッチされた瞬間だけC1をショートして充電を開始させればよさそうだ。
当然こんなやばい改造は1発でうまくいくわけもなく、色々工夫したのだけど、上の写真のR2を半田ごてでピっとはずし、そこにケーブルをつけて別基板に乗ったスイッチでオンオフする。インバーターなのだからプルアップしておけばよさそうだけど、Cを追加して鈍らせた波形にしてあたかもLFOが入入っているかのようにだましてやらないとうまくうごかなかった。
Cの値は、0.1uFでは大きすぎる。とりあえず、0.01uFを付けたら動いてる。0.0047uFでも動く。多分、可能な限り小さいほうがほかに与える影響が少なくなそうだ。
したの赤丸の中の青丸のほうが回路図のB。そでないほうがA。この細微なランドにハンダ付けした線を引っ張っぱると、基板上のパターンも一緒にむしれる。僕はつい引っ張っちゃって、基板、むしっちゃった。ラッキーにも、その左下のランドが使えたのでそこからAを引っ張っる。動作を確認したら、ホットボンドで固めて、ちょっと引っ張っても取れないようにしておくほうがよさそうだ。あくまで仮止め。
シンセの拡張で紹介した矩形波変換回路は、Monotronの基板のVCOとVCFの間に挟みこむ。
上の写真の上側の赤丸で囲ったほんのちょっとだけ大き目のCがVCOの出力に乗っているDC成分を外す為のカップリングのC。コレをはずして、青丸のほうがVCFの入力となる。VCOの入力は、基板裏のVCOというチェックポイントから取れる。
それぞれ、シンセの拡張で紹介した回路図の左下の矩形は変換回路の、VCOと、toVCFに接続する。基板からはずしてしまったCの代わりが、この回路図のC7になる。基板にはどんな値のCが付いていたのかわからない(測ればいいんだけど)ので適当にきめたが、これ以上大きくすると、音が出たときとまったときにパツパツとDCの漏れる音がきつくなるので大きくしすぎないようにしたいし、小さいと今度は、低音が出なくなってしまう。どんな音が出るようにしたいかな、という視点で決める。
僕は、ヘッドホン端子はそのまま生かして使うことにして、ヘッドホンアンプ直前の、ディスクボリュームの上から見て、一番左から2番目のピンからオーディオ信号を取り出した。ディスクボリュームについている端子の、一番左右の端の2つは、VRを基板に保持するためのピン。コレを追加で作ったノイズゲートにいれ、専用のアウトプット端子から出力を取り出している。
ケースのサイズが許せば、6mmΦのジャックをつけたかったのだけど、サイズがどうしても合わなかった。MIDI受信のDINコネクタでさえ、つける場所がなくて、基板のほうを削ったりした経緯がある。
MIDIのほか、1V/1OCTのピッチ用のCVと、5Vのゲート信号を受けるようにした。ゲートに関しては、このジャックに突っ込めば、内部のMIDI-IFと切り替える形になるが、CVのほうは普通にミックスされるので、MIDIと、1V/1OctのCVをうまく使って転調したりができるかもしれない。
結果論だけど、結構むずかしい改造になった。回路の技術的な面もそうだし、この小さなサイズをどうするか。とくに、MIDI-IFはデジタルなので、温度による変動で動作にはブレは生じなはずだけど、電池オペレーションだから、実験をしていると、問題にならないつもりだった電源圧が変化していく。これにあわせて、CPUクロックも変化してこれを使っていた、MIDIの受信ができなくなることがあるようだ。
色々組み合わせて消費電流が変わると、電源圧の変動の仕方や、ノイズ量も変わるらしい。それもこみで完全に組み込んだ段階で、クロックのトリミングが必要。MIDICHは1chに固定で、変えたいのならチップに焼きこまれたチャンネルを書き換えなきゃいけない。本体基板のチップ部品を外したり、もう、それなりの経験がないと無理なことばかりになってしまった。
残念ながら、ちょっと、初心者にもお勧めできる改造にはならなかったかもしれない。
ページ公開後、Twitterでフォローさせていただいている方から、「引き出しポイントをすっぽりホットボンド固定するよりも、ケーブルの引き回しの要所でマジックハンダで基板や部品に固定する方がいいと思う。」とフォローいただいた。
僕もやってみて気が付いたのだけど、100発100中間違いなしの自信があれば、僕のようにすっぽりやるのはあり。でも、ここかなー、あそこかなー、見たいな作業の時は、PCBに直接ホットボンドをつけたあと、「あら、しまった」と、ケーブルをはずそうとすると、ホットボンドが簡単に取れないのでパターンごとむしりとることになる。
ハンダ付けしたポイントは空けておいて、ケーブルを大き目の部品(むしれなさそうな)VRや、ICの上に固定するほうがよさそうだ。
僕は手芸用のインジェクタを使うホットボンドを使っている。消耗品も100円ショップで手に入る。また、HAKKOが「ハックルー」という品名で販売してる。一般にはマジックハンダというらしい。んーなもん、電子工作を楽しむ上では無きゃ無いで何とかなるアイテムなのだけど、同時に、有ると無いとでは仕上がりがちがう。それでなくてもあやしい改造をしてでも、長く使うつもりなら、腹の中も、丁寧にやったほうが良い。
今回は、適当な電池ボックスが手に入らなかったことから、オリジナルの単四電池2本を、単3電池を2本とした。
この作業をやっているうちに、Monotron本体に乗っている、電池2本を5Vにコンバートして使うという、電源まわりの構成に、ちょっと興味が出てきた。色々工作をやっていると、電池で十分な電流量なんだけど2本(3V)では足りない、と言うシーンは結構多い。こんなときにさくっとこのテクニックが応用できたら楽だなあと思い始めた。
make: tokyo meeting 05への出展を予定しており、これに間に合わせるのが前提にもかかわらず、飛び込みで、DC/DCコンバーターの実験をちょっとやってみた。
電源なんてもんは、*V*mAの電源が欲しいという要求仕様にあわせて用意するものに違いないのだけど、そのほか、ノイズレベルはどれくらいとか、取り出す電流によってリップルの周波数やレベルがが変わらないようにするとか、それなりに奥が深そうだ。
実験してて、取り出す電流によってリップルの周波数が変わったり、電源なのか、VCOなのか、わからなくなってきたりして、回路としての面白味がありそうだ。
電源周りについてはいずれ項を改めて、チェックを入れて見ようと思った。