録音して使えるか!!

nanoKey
中身ダシムキ

MIDIがついて、オクターブのスパンの調整をしながら、音程悪いな、こいつ、とかいいながら、CVの生成をしているらしい部分の基板を追ってみると、アンチログ回路はDualTRを使っているっぽいのでトランジスタ温度補償はやっても、オクターブの補償のために普通は温度補償抵抗をつかうんだけど、どうも普通の抵抗を使っているらしい。気温の変化でオンチになる。MIDI-CV側に温度補償を付けてもあまり意味がないかもしれない。
やってみなければわからない問題点がいろいろ出てくる。

まあ、音は出るのだから録音してみるかと。もともと、電子楽器とか大好きで手作りするんだけど音がでると、なんだか、違うスイッチが入ってしまい、ナニをやってたのかわかんなくなる。音を評価するつもりだったのに、演奏が楽しくなっちゃって、気がつくと夜が明けている状態。
そうならないよう、あまり鍵盤には触らないようにしながら、録音する。

Korg Monotron Demo (J.S.Bach インヴェンション 第8番 ヘ長調)

バッハだけど、音を作ろうと思って、音量を上げてモニターしていると、ノイズがすごい。音は出てないのだけど、シャーっと聞こえる。オリジナルの曲は2声なんだけど、上のメロディーを2回ダビングしているので合計3声。もう、ドシャーっとノイズジェネレーターの代わりに使える状態。

最初は、TPA6111A2に疑いの目が向けた。D級の超高効率の代償として、SNが...。仕様書をチェックするとSN比は-100dB。おや、すげえ。16Bitオーディオにも負けないクオリティ。ためしにと、TPA6111A2の直前についているに違いない、ボリューム周辺のパターンを読んで、アンプ直前のポイントから、引き出して、4580で数倍に増幅して聞いてみたが、ノイズは相変わらず。
VCOにノイズが載っていたら、回路の構成的に考えて周波数が安定しない。このノイズの元はVCFかもしれない。

何年かまえに、MS-20のフィルターを組み立ててみた事がある。MS-20のフィルタには、前期型と後期型の2種類があるんだそうだ。後期型には、OTAが使われており、Monotronの基板には、オペアンプしか乗ってないので、たぶん前期形だろうという想像。これは、前期型。

Monotronに使われてるものとまったく同じと言うことではなけど、大筋としてはこんな感じのはず。真ん中の、Q2,Q3がミソで、トランジスタが、トランジスタとしての働き、爆発的な増幅率を発揮する以前の領域、メーカーの仕様書からは読めない微弱な領域で動作させている。入力は、2.2kと47オームでアッテネートして突っ込んでいる。1/47.8とか。最終的に出るときに、コレぐらいの増幅してやらなきゃ音が小さくなっちゃう。しかも、オーディオ的には、不利な、LM324で。
逆に言えば、この、ソフトウエアではシミュレートするのが最も難しいノイズ成分がアナログの証明ともいえるかもしれない。録音するときにこのノイズが気にならないように落とせるよう、ノイズゲートを付けることで、アナログであることを誇示してみようかと。

ノイズゲートの検討

MIDI-IFを検討したとき、まだ、Monotronの中に組み込めないかな?と考えていて、可能な限り小さく、部品点数も少なくと考えたのだけど、できあがってみたら、これもう、どう考えても素敵なケースの中には入りそうにない。
小さくするというのが、クロックに水晶を使わずに、内蔵のRC発振を使う言い訳だったのだから、まあ、部品点数はケチる方向で考える。
ノイズゲートの回路は、回路は、オッショさん、(masa921さん)がご紹介くださった数年前のトランジスタ技術の特集記事の一部を追試させていただく。
一番最後の、「オーディオ・ミュート回路-専用トランジスタで確実にON/OFFする-」と言う記事だ。最近、ちょっと気になっている、ミューティング用途に特化した特性を持つという、2SC2878が使われている。
単電源回路で動くように、さらに、バッファアンプ(実際はゲインを持たせたけど)を入れる。NJM4558は、電源に±4~±18V最低でも8V無いと動かない。
一方、NJM4580は、±2~±18V。5Vでも動かせる。しかも、NJM4558に比べて、ローノイズ、低歪率。 ただ、バイアスをシンセのほうから引っ張ると1.3V程度なのでマイナス側が不足して動かない。シンセ側とは別に、バッファ用にVCCの中点、バイアスとして、別途2.5Vを用意する。

  • 回路図(GIF format)
  • 回路図(Bsch3V format /Zip)
  • PCBパターンデザイン例(準備中)

このバッファ回路に、LM356を使えば別途2.5Vを作る必要はない。あえて、4580を選んだのは音が好きだから。ローノイズだし。さらに、矩形は変換に、オペアンプを使うつもりで、その比較の電位として、2.5Vがちょうどよかったから。色々前後を考えると2.5Vをあえて別に作るメリットがあったというわけだ。

矩形波の検討

MonotronのVCOの生の出力波形
MonotronのVCOの生の出力波形(クリックで大きくなる)

MonotronのVCOの生の出力波形。大きく上にずれてる。波形をみるのなら、見やすいように真ん中にすればいいのにと思われるかもしれないが、ここで見たいのは波形じゃない。
画面の真ん中に、荒めの点線が見える。これが、0V。波形の一番下のとがったところに細かい点線が見える。この2本の線をカーソルと言う。画面の下に、△V1=2.62Vと見える。これは2本のカーソル線の間が2.62Vである事を示している。そう、ここでは、オシロをテスターとして使って、電圧を見ているのだ。その下の、1Vはオシロの画面にある四角いマス、ひとつ分、縦方向の電位のこと。波形は一マス分振れている。
これから、3Vを中心に、上下に0.5Vずつ振れて、トータルの振幅は1Vの出力が出ていることがわかる。ちなみに、横の一マスは時間を示していて、一番上のAの後数字が時間。500usが2つで、大体1mS、1波形が1mSだから、1kぐらいの信号であることがわかる。それは、画面の右下に、941.34Hzという数字でも読むことができる。オシロの画面に評される文字情報は一般にリードアウトと呼ばれていて、もし、まだ、オシロスコープを手に入れてないのなら、これが表示される機種をお勧めする。目には見えない電気を視覚的に見ることができるオシロスコープがあると、電子工作は、その面白さは10倍から28倍(当社比)膨らむ。

矩形波変換は、シンプルに、オペアンプをコンパレーターとして使う。電圧で、比較的自由にそのパルス幅を変えることができるし、アナログシンセの矩形波変換では、渡りに船な回路といえる。 本体の電池から、無理やり引っ張った電源で動かすのだから、全体として追加する部品数は少なくしたい。ここでは専用のコンパレーターではなく、オーディオを通す目的で使ったノイズゲートの4580の片割れをコンパレーターとして使う。 ノイズゲートのオペアンプを動かすのに作ったVCCの中点、2.5Vを基準に使って、ここから、0.5Vあがると、ちょうど、鋸歯状波の真ん中、50%のきれいな矩形波をとることができる。ここから、下がっていくと、オンの周期が小さくなっていき、2.5V程度になると、音が出なくなってしまう。
MonotronはVCFがきれいに発振するので、VCOの音声なしで、フィルターだけで鳴らすことでシンセドラム的な{ピューン)という音も出せる。「つまみの設定によっては音が出なくなってしまう」、のではなく、「積極的に音を止めるために、パルスの幅を思いっきり狭くしてしまう」という使い方を想定した。
これは、おっしょさん(masa921さん)が氏のシンセに昔から実装されている機能なのだけど、「僕の作るオリジナルシンセからが、チーとか蚊の鳴くような音が出たら困る」という理由で今まで実装しなかった機能だ。自分が欲しい音が出るシンセを作るのが手作りの醍醐味。使わない音なら出なくて結構!が心情なのだけど、今回は、発振するフィルターの凶悪な音が魅力。コレを生かす音作りができるようにという配慮。求めるのは欲しい音が出るかどうかだ。

実装をどうするか....

追加するコントロール類
追加するコントロール類を乗せたPCB。(クリックで大きくなる)

さすがに、ここまで検討して回路が決まってくると、どう考えても、この素敵なケースの中に全部を納めることは無理であることに気が付く。どう考えてもつまみを後2~3個増やすのなんか、絶対無理。
アマチュアと、メーカーの大きな違いは、かっこいいケースを作れるかどうかだと思っている。ある意味、このケースに入っているからmonotronだともいえる。
そもそも、メーカーが楽器として世に出すのだから当たり前のことだけど、開発コンセプトがしっかりしていて、その線で可能な限りの完成度を狙っていて、しかも、それが、成功しているんだな...と遅ればせながら思い当たる。素敵なケースが醸し出す、メーカーが意図したコンセプトに惑わされて、改造できそうなところはどこかな、というアプローチに萎縮しちゃいそうだ。
メーカーが意図したコンセプトを実現するために、この小さいケースの中に詰める為に、あの機能を絞って、あーしてこーしてとかは、メーカーのエンジニアにお任せすればいいのであって、革命的アマチュア主義を標榜するDIYerはすべてを自分の思うままに拡張する自由があるはずだ。
冒頭に録音した、バッハの、「おー、そこそこ、そこが痒かったのよー」的、予定調和に収束していくエンディングの和音の音に凶悪なモジュレーションをかけながらそんな所に着地点を見出す。

メーカーが世に問うたコンセプトのうち、出音の部分は最大限に尊重しつつ、別のコンセプトを立ててみようかなと。
寺山修二は「書をすて、街に出よう」と言ったけど、僕は、「ケースを捨て家に籠もろう」路線に走ってみようかと。そう、レコーディングでワンポイントに使えるシンセにならないかな、と。

海外通販で手にいれたVR

その障害としての、でも、抗いがたい魅力をもったケースを捨てるのは勇気が要るけど、この音が出るんなら...スピーカーはともかく、リボンには最後までこだわりは残しておきつつも、別のケースに詰め替えちゃおうかなと。
とりあえず、最低限、見た目はそろえたいので、黒い軸のまま使えるVRを秋葉原で探してみたのだけど、同様の形状のものがなく、以前、別のプロジェクトで使ったのと同じメーカーの、頭の先っぽの形状が微妙に違うものが手に入った。
パネルへねじ止めせず、パネルの裏側に、PCBをサブパネルとしておいて、軸を外に出すというスタイルのVR。アルプスの9mm角のものとは、サイズが違う。いつもの、2.54mmピッチの蛇の目基板に入らない。さらに、なんとなく手に入れておいた型番不明の小さなスライドスイッチが2つあるので、これも乗せた基板を作ってみた。

1/2VCCを作るために、抵抗2本で分圧し、デカップリングのCをおごる形式では、バーチャルグランドが大地震を起こしてしまい、電源経由での音モレがひどく、音が出てないはずなのにもれて聞こえたり、ゲートのオンオフで、バクバクDCだだ漏れ。鍵盤をたたくたびにボチボチとノイズが載る。 スペース的にも、もうひとつオペアンプを載せる余裕はないので、VR同様、以前、別のプロジェクトでつかったTLE2426CLP(三端子パッケージ)を使うことにした。ノイズ的には、分圧点の電位にちゃんとデカップリングがつけられる、オペアンプのボルテージフォロワを使う方が圧倒的に有利。