ソフトウエアでEG
pARMを1年間使ってきて、やっぱ、EGはARじゃ、物足りないと思った。ADSRが欲しい。切実に欲しい。じゃ、どんな回路にしようかなと考えるべきなんだろうけど、ちょっと視線を換えてみた。
どんな操作をしたいのかなと。というか、pARMというシンセはどんなシーンで使いたいかなと言い換えてもいい。オルガンや、ローズのうえに載せたDX7とかにMIDIで接続して、飛び道具的なソロをかましたり、ベースとしてのフレーズを鳴らすのに使いたい。ここは、開発当初からブレのない、基本スタンス。
コレを強化していくにはどんなパラメーターにすればいいのかな、という視線。
コアな部分はアナログにこだわるとしても、コントロールの部分は、回路全体がシンプルにできるのなら、デジタルOK、なんでもありかなと。音色を記憶できるタイプとか、プリセットタイプとかへのバリエーションを考えると、CV生成部分と、音源部分は分けて考えるのがよさげ。
ここでは、ずいぶん前から、テーマにしていてちっとも手が付いていなかった、ソフトによるEGを考えてみようかなと思う。
パラメーターの決定
とりあえず、電圧制御のEGにする。リリースパラメーターはMiniMoogのように、ディケイと一緒にして、スイッチでオンオフを選べるようにする。
他への応用も考えて、一応、リリースタイムは電圧で受け、外部でスイッチするように検討してみる。
一般的な、アナログ式のEGでは、タイミングで変化する電圧をコンデンサに掛け、充/放電するタイミングを抵抗で換えてやろうと言う方針。最近、100kΩ以上のVRが手に入りにくくなってきていたり、手に入るコンデンサの性能に依存するところが多くて、結構「成り行き」な部分が強かった。まあ、だいたいこれで、ナントカなるんだけど...
一方、ソフトでEG書こうとすると、成り行きで..はあまりなくて、比較的きっちりタイミングを定義し、それを実現するパラメーターを計算で得なきゃいけない。ウーム、どしよ。とかいいつつ、有名なシンセのパネルをチェックして、どんなタイミングにするかを検討してみる。
上記はおとなのためのアナログシンセ秘密基地計画より。丁寧に作られたページで、シンセの初心者にもお勧めの記事が満載。
パネルの文字をナントカ判読すると最短は、1mSか2mS。ミニムーグのパネルは、2mSの前に、成り行き高速部分があるから、まあ、1mSとしようかな。
最低速度は、10S。
色々なシンセの Envelope Generator でRoland System-700のパネルのドアップを拝見することができる。ここからタイミングの数字が読める。これには、さらにX10スイッチついる。
今、検討しているのは、pARMのEG。効果音は出せなくてもOK。むしろベースや、メロディーを演奏するのに、最適化されたパラメーターが欲しい
テンポ120bpmなら、四分音符一つ0.5秒。5小節も音を伸ばすなんてな事があるだろうか?効果音的に、4小節音ドローンサウンドをを出しっぱなしとか言うシーンはありゲ。
でもこの世で、このシンセを一番使いたいと思ってる僕は、そんな曲はあまりやらない気がするし、大体4小節の間、鍵盤を押さえたままじっと我慢なんかできるわけがない。
きっと、モジュレーションのつまみをグリグリやってるに違いない。その曲の中のハイライト、一番目立ちたいときに触るシンセなのだ、「もう、左手はモジュレーションホイルから手を離せなせませんー」、な演奏のときに使うシンセなのだ。リリースなんか、鍵盤から手を離してローズのバッキングに移る時に、成り行きで音が消えてくれればOK!
とすれば、2秒(1小節)あれば十分。テンポ90だったら、2.6秒。まあ、夏のボーナス大セールで、3秒あれば、必要十分かな?
というわけで、pARMのEGは、1mSから、3Sまでとしてみる。
つまみの回し具合とパラメーター変化の具合
Roland System-700のアタックタイムの設定つまみ
つまみの回転角に対して、抵抗がどのように変化するかは、ヴォリュームの種類によって違い、それは、テーパーや、カーブと言われる。軸の回転角に対してリニアに変化するカーブをBカーブ、指数的な変化は、Aカーブ、対数的なカーブはCカーブと言う。Bはリニア、Aはオーディオカーブと言われることもある。Cカーブは、分数の分母を変化させたときのカーブとちょっと似てて、たとえば、抵抗値が分数の分母になるような変化を得たいときにこのカーブのボリュームを使うと回転角に対してリニアっぽい変化を出すことができる。
とりあえず、Roland System-700のEGのパネルの写真プリントアウトしてアタックタイムの設定の部分、線引きで長さを測ってパネルに表記された数字から、どんな変化をしているのか、カーブのグラフを作って見てみた。
純正指数カーブ
お、ちょっと、指数カーブに似てる?ちと微妙に違う?
これが、純正指数カーブ。リニアなボリュームの軸の回転角の(ここではスライドの距離だけど)に対して1mから、3000mSまでを255段階に割り振って指数的に変化させてみたみた。EGのカーブはセンターぐらいでトータルの10%程度。純正カーブは、センター位置で全体の2%程度と、なんとなく形は似てるものの、微妙に違う。
一般に、ボリュームのAカーブは、大体70%ぐらい回したところで半分ぐらいになるようになっていて、Aカーブとは、指数っぽい変化であって、決して指数とまったく同じと言うわけでもないらしい。人の聴感に合わせて、回し具合とと音量の変化が大体一致するように工夫された特殊なカーブであることがわかる。
ついでなので、ミニムーグのEGのタイミングもグラフにしてみた。実は、「ついで」なんて書いてるけど、このカーブを見るのがこのプロジェクトの主目的だったりして。
ついでなので、ミニムーグのEGのタイミングもグラフにしてみた。なんちて!
一般に、は「Minimoog はパラメーター多い割には、器用なシンセじゃない」なんてな事を言われている。
Analog2.0の設計者、(SX-150の設計者でもあるんだけど)のGanさんは、「色んな音が出せないのでなくて、いいところの音しか「出さない」設計になっているのでないか」と仰っている。僕はまだじっくり触ってみるチャンスがないのだけど、ミニムーグを操作したことのある人たちは一様に口をそろえて、「MiniMoogはEGが違うよね」という声を聞くことが多い。いささか乱暴ではあるけど、このEGのタイミングの設定が、ミニムーグの設計のココロだったりするんじゃないかなとか..とか。
プリントアウトした写真に線を入れて分度器で計ったりして、ちっとも正確じゃないんだけど、あきらかに、指数カーブとは違うことが分かる。テンポ120ぐらいで、8分音符(250mS)、4分音符(0.5S)、2分音符弱(1S)、おいしいところが9時から3時ぐらいまでの間に来てる。
これは、ボリュームのメーカー、アルプスの資料で、さまざまなカーブが紹介されている。このカーブの中で、W(4B)というカーブのVRが使われているに違いないと言う気がする。
敵は見えてきたぞ
逆S字カーブを作ってみる
要するに「始めちょろちょろ中ぱっぱ。赤子泣いても...」という日本古来のご飯をおいしく炊く極意がここに再現されていた..いやちとまて?これは1mSから10秒をVRの300度の角度の中でおいしく割り振るためのカーブであって、ミニムーグを超えようとか不埒な思いに耽るpARMに、ママこのカーブを使うのってどーよと。マックスを3秒にしたんだろ?!
で、EGのタイミングの設定自体はリニアにしておいて、コレに加える最適な動作が得られるようなCVを突っ込む方法を検討してみた。要するにVRが持ってるカーブをひん曲げる手を考えてみた。
VRの片側(または両端)からスイーパーに抵抗をパラって、VRの動きによって、VRの抵抗値が変わるので本来のカーブとは違うカーブが出る。Aカーブ、Bカーブ、上だけ下だけ、両方と色々抵抗をつけると色々なカーブが出せそうだ。
さらに、パラる抵抗を変える事でカーブのバリエーションはさらに広がる。
こちらが生のエクセルファイル。太枠の値が並列にする抵抗(kΩ)。VRは100kとしてある。この太枠にそれぞれ色々な数値を入れると、さまざまなカーブが描画される。(僕はOpen Officeを使ってる)
実装と評価
このページは、「阿部さんの掲示板」こと、アナログ震世界のアナログシンセ掲示板に投稿させていただいた記事「シンセのEGのタイミングの設定 」というスレッドを中心に加筆・修正してまとめなおしました。