部品の在庫

オールICのマイクアンプ

ふと気がつくと、部品の在庫が大変なことになっている。100円ショップで手にいれたA5程度のサイズのセクションケースに抵抗、コンデンサ、IC類を詰めて適当に重ねておいてあるのだけど、よく雪崩る。
名前と、VCE、IC、コンプリメンタリの相手の名前のメモを付けて小さな袋に詰めたトランジスタのコレクション。アキバという野原に吹き荒れる時間という季節の移り変わりに消えていく蝶を、丁寧に捕まえては整理分類して系統ごとに箱に詰めていく作業、まるで昆虫採集のようだ。こうなってしまうと、何かのプロジェクトに使ってしまって、コレクションが欠けてしまうのが惜しくなる。一体ナニをやってたんだろうと頭を抱えたりして。
昔は、この性能を落とす代わりにあの性能を上げたものとか、あの用途に使うように特化した性能を伸ばした物、というように用途別に色々な種類を、各メーカーが作っていたらしい。製造技術があがるたびに、古い品種は新製品にその座を譲っていく。
最近はトランジスタそのものの性能がアップしてしまっていて、どんな用途ににもコレ1発で十分見たいな事になってきているようだ。コレクタに流せる電流の量でガタイが変わる程度、数種類あれば、どんな用途にもOKになってきている。とりあえず、2SA1015、2SC1815の2種類あれば、たいていの回路では何の問題も無い。
そういえば、部品の在庫の量は、DIYerとしてのキャリアに比例するかもしれない。
始めたばかりの頃は何か組み立てようと思ったら必ず秋葉原に出かけていた。買い物するたびに少しずつ大目に買うようにしてきた。ふと思い立って実験する時に使える選択肢を増やすのが狙い。50円以下の半導体は必ず必要数の2倍買うようにしてきた。部品代は、電車代や送料より、圧倒的に安い。しかも、ミスって壊す事も少なくない。
抵抗も、1k、2.2k、4.7k、10k、47k、100kは100本づつ手にいれてしまった。どうせ使うのだ。これ以外の値を買うときは必要量の2倍買う。ある回路図にその値が出てくるのなら他の回路図にも出て来る可能性があるから。どちらにせよ10本は超えない。気がつけば、抵抗は半年に何種類か買い足せば、殆ど在庫がある状態になっていた。
最近Twitterに参加して、多くのDIYerに出会う機会が増えた。基本的にはネット上での覆面でのお付き合いなので、想像するしかないのだけど、僕よりも、ずーっと若いんだろうなと思う。若いDIYerはいつだって歓迎だ。
彼らが、何年も前にメーカーで製造を停止して、今では入手が難しい、珍しい部品を手にいれたと喜ぶ声を聞いた。なんか、自分がDIYを始めた頃の感覚を思い出した。嬉しいんだよね、まるで、川底から砂金を見つけたような高揚感だよね。白状すると、僕もそういう部品が山ほどある。使いたくて手にいれたのに、結局、なんだか勿体無くて使えなくて手元に残っている。絶滅が危惧されて久しい品種もまだタンマリ手元に残っている。
ガレージメーカーとかをはじめるのなら、そういう希少価値のある部品を使うことで、差別化された商品価値を作るプランはあると思う。でも、アマチュアだろ?DIYerだろ?無ければ作る、が、DIYerだよね。
先日公開されたRJBさん「ESM-2」の開発コンセプトの一部に、「部品については入手が容易なもの(ごく一部の特殊な部品を除く)のみを採用」が歌われている。これこそ、アマチュアの正しい態度かなと思う。アマチュアも、アマチュアであることに誇りを持ちたいなとか。

てな事、言われてその気になって...

マイクアンプ用の部品類。ICは、INA217、THAT1646、DRV134

なんちって!建前は建前。えらそーなこた、かましても「浮気な僕ら」のやることだからね、今日も今日とて、ナンカ面白そうな物は無いかなと秋葉原を徘徊してたり、ネットで検索してたりするわけですよ、ええ。で、こんなもんを見つけてしまいました、というのが冒頭の写真のメーター。

ちょっとクラシカルでかっこいい。こんなメーターが、目の前で触れてたら良い音がしそう。ボーカル録音するときにコレ見ながらやれたら、元気良い声が取れそうな気がする。いや、気分大事。こちとら、アマチュアだし。というか、手に入った部品を旨いことアレンジして動かして見せる愛と勇気を示すのも、それなりに年季の入ったDIYerの務めかな。
とりあえず、勢いで1発手にいれたのだけど、モノラルで動かして面白そうな物ってなんだろう、と考え始める。そう、部品をみて、ナニを作るか考え始めちゃったりして。
実は、「手段のために目的は選ばない」や、「論よりRUN」など、日本のDIY界に数々の名言を残すChuckさん(twitter@dennon_no_kouba:)のブログの去年の春ごろのエントリーで話題にしてた品でもあったりして。
メーターそのものは、上記のエントリーでも紹介されている通りFlash Starという台湾のメーカーの現行品(2010/01現在) SO-45と言う型番は、Showroomの中ではVUメーターのカテゴリーではなくパネルメーターのほうにあり、文字盤も電圧計の物がついている。サイズは分かるものの、メーターとしての細かい仕様がわからない。
とりあえず、切り張り可能な汎用のメータードライブ回路を持った、マイクプリアンプに仕立ててみようかなと検討を開始する。

メータードライブ回路

メータドライブ用テスト回路
メータドライブ用テスト回路

完成にこぎつけた数少ない「タケダノオト」のプロジェクトの中の一つ、真空管マイクアンププロジェクトの成果物としてのマイクアンプは、自宅スタジオで重要なパートを担っている。それなりに使い込んできて、使いこなせるレベルにやっときたなという印象になってきた。コレを使って見た経験から、自宅録音に必要な機能を検討してみる。

Chuckさんのブログのエントリーのコメントにも書いたとおり、はっきり言ってメーターなんか、Candy for eyesだと思ってる。目に楽しいやる気をそそってくれるメカ。ANSI規格通りの針りの動きを再現して、これからからトータルなレベル管理ができるのは、プロの中のプロだけで、アマチュアが見たって読めるもんじゃないと思う。(そういえば、内科の医者はレントゲン写真は読むのであって、見るものじゃないんだ、とおっしゃってたのを思い出したりして)
マイクアンプに付けるレベルメーターに必須な機能は、デジタルレコーディング全盛の今時なら、録音のときにピークが歪まないように管理できること。
後からいくらでもコンプでも何でも掛けられる今ではあるけど、録音の段階で歪んでしまってはあとから、ひずみは取れない。デジタル録音の頭の部分はDレンジを可能な限り確保することが重要なポイントになりそうな気がする。
そういう意味では、瞬間のクリップを見せることのできないメーターとは別に、ピーク超えたよ、を示すランプがつく機能は欲しい。歌ってるときは、歌詞カード見てる事が多いから、瞬間つくだけじゃダメ。それなりの時間キープするか、リセットスイッチが欲しい。見て無いならメーターいらねーじゃねーかは問うてはいけない。なんたって、メーターを動かすのが重要なテーマの一つなのだ、あーあ。
というわけで、この回路図で試してみた。 実は、メーター大好きなのだ。先日大阪に出るチャンスがあったので、デジットを見に行くのを楽しみにしてたのに、定休日。カッときて隣のマルツで手にいれたプラスチックのVUメーターや、以前houshuさんが、MIXIのほうで紹介されてた100円ショップで買ったバッテリーチェッカーをむしって手にいれた丸窓のメーターは動いた。(とは言え、厳密にチェックしたわけではない、なんか、動いたかもレベル。実験での評価が可能なレベル)。要するに、オーディオ信号を突っ込んで、普通の電流計を動かす分にはOKな回路。整流用のダイオードは0V周辺の微妙なところでちゃんと針が動くように、VFの小さいゲルマニュームダイオードを使う。ショットキーバリアダイオードでもいい。
で、ギャレットから届いたメーターをつけてみたら...動かない。ああ、ハズレ掴んじゃったよ、突っ返そう、どうせ壊れてるんだから、ついでに中見せてもらっちゃおうと蓋開けてみたら内部にシリコンダイオードのブリッジが入ってた。うげ。このシリコンダイオードのVFがでかくて、今回用意した回路のR7に勝っちゃってる状態らしい。壊れてませんでした、そういう商品でした。こっそり蓋を戻したりして。通販のページについていたコメント

※ANSI規格に即したものではありません。
※ドライバ-回路はネット検索にて

にすっかり騙されたかも。針の動きが規格どおりじゃないよという意味らしい。安いメーターばっかりいじってたせいですっかり勘違い。普通に、5532アタリの出力がタフなオペアンプのオーディオ出力を直接突っ込んでOKなようになってるらしい。
上記の回路では両電源+/-15V必要だけど、ピークランプを付けるならDC化したオーディオレベルも取り出しやすいし..ちょっと、アンプ回路や、ピークランプ回路との絡みも考えて、もう一回考え直したほうがいい感じ。
メータードライブ回路の検討はとりあえずここで一度打ち止めにしておく。

マイクアンプ回路

真空管式のマイクプリアンプを検討した時には、歴史的な回路の数々を検討しつつ、理解を深めていったが、今回は一般に「ある程度完成されてしまったアプリケーションとしてのマイクアンプ」としてとらえ、プロユースと歌われているICを乗せて終わりにしちゃうつもり。
その筋では有名な半導体メーカー、THAT Corporationのページをチェックしてみる。特にDesign Notesのページは必見。Basic Compressor/Limiter Designとか、RMSディテクタとか、その筋はしびれるに違いない。
マッチングの取れたトランジスタを使ったディスクリートのMicrophone pre-ampは必見。入力のカップリングのCは、必要な容量を得るだけでなく、その部品の持つ周波数特性も検討して、ケミコン、フィルムコン、複数のCを組み合わせて使うような設計になっている。

この辺は、はまるとやばいぞと。目の保養にとどめる事にして、実際に使うつもりのICを検討してみる。
ちょっと調べてみると、千石電商オンラインショップで、 ina103という低ノイズ、低歪 計測アンプがリストされている。仕様書はこちら。 そうそう、この手の奴よ、うんうん。とか言いつつ、たまたま手に入ったバーブラウン/テキサスインスツルメンツのina217 Low-Noise, Low-Distortion INSTRUMENTATION AMPLIFIERを使ってみることにする。
DIYerなんか何年もやってると、そういうチャンスがあったりするのよ、なんちって、知り合いが発注掛けた海外通販にちゃっかりタカっただけだけど。 たまたま僕は、日本一の電気街としての秋葉原に出向くチャンスがあるけど、そうでないDIYerも日本には沢山いるわけで、通販とかも大事な部品入手経路の一つ。秋葉原を徘徊するだけでなく、通販でも、面白い部品を手にいれるチャンスはある。通販ならば日本国内にこだわる必要もなくなってきたりして、逆に世界が広がってたりする。
ケースやVR、つまみなどは実際に見て触って決めたいとかはあるかと思うけど、今後電子部品のSMD化が進めば、手にとって見てもおなじだし、部品単価はどんどん下がって、普通に100個単位で買うようになると、部品1つアタリの送料はただ同然になっちゃう。型番で決まる電子部品の類は、もう、通販を活用しない手は無いかなとも思う。

歪率の欄に並ぶゼロとかもう数えたくない(てこともないか)ぐらい並んでるし、コレを実現するのに先にソレが読める測定器から考えなきゃな状態。ありがたくその性能を使わせていただく大人さを示す勇気が試される。
さて、アンプ部分はコレで行くとして、家のホームレコーディング環境としては押入れを改装したボーカルブースからパソコンや、ミキサーが置いてある場所まで数メートルのケーブルを引き回してある関係で、バランス出力が要求される。
一応ヤマハの立派なミキサーで入力はちゃんとしてるけど、事によっては、2番ピンをグランドに落とした乱暴なキャノン->フォンケーブルとか使われようモノなら、出力のオペアンプの出力がグランドにショートされる形になってオペアンプそのものが死ぬ。
プロ用の機材はプロ用のケーブルでプロ用の機材に接続される前提で設計されているし、僕もその前提で設計する。いや、もっと気合の入った高価なプロ用の機材は出力に壊れるかもなオペアンプなんか使わないでちゃんとトランスを使う。まあ、上には上があるということだ。
実は、ちゃんと、半導体のラインドライバもたまたま手に入った。しかも2種類。

さらに本当にたまたま手に入った入力に使えるトランスも使ってみようかと。いや、これは、申し訳ないけど、手にいれるにはかなり気合がいる。なんだかんだ言っても最終的には納得の音が欲しいと思っていて、色々その筋に話を聞くと、コンデンサを使わないために、トランスを使うというのは定番なのだそうだ。ファンタム電源を使わないつもりで、あえてカップリングのCを外すという現場のエンジニアもいらっしゃるほどだそうだ。

電源回路

以前組み立てたマイクアンプは、変な音がすればするほど嬉しいみたいな、チト屈折した記事になったけど、今回は、クリアな味付けの無いストレートな音が狙い。(いや、一応、タマとMOS-FETのハイブリッドマイクアンプは今でも現役で自宅スタジオで使われている。)
電源回路はすでに別プロジェクトで組み立てすみの7815/7915を使ったシンプルな物。以前の記事のファンタム電源は、「結局、何もしない、ノーガード戦法」とか乱暴な事したけど、今回はちゃんとレギュレーターを入れてみようかと思う。
前回検討したときには、最悪ショートされたとして15mA流れるから、マージンとして6掛けにしたけど、15mA以上はどうやっても取れない。20mAにしとこっかな。 というか、トランジスタに流せる電流は150mAまでOKでも、50Vもあると、20mAでも1W。コレクタ損失が400mWとかの小型のトランジスタは焼ける。(2SC1815は、コレクタエミッタ電圧(VCE)が50Vだから、ギリギリ)。実は手持ちでこの仕様を満たせるトランジスタの数は限られる。
とりあえず、トランジスタの選定の基準としては、ICが20mA、VCEが50V、コレクタ損失が1W以上と言うことで、東芝の現役では、2SC4321(120V/1A 1.5W)かな?2SC4322は、VCEが40Vとチト低い。こうしてみると、汎用として使っている、2SC1815がいかにバランスの取れた強力なトランジスタなのかが見える。
電源トランスは前回も検討していたSL-18025を使う。ACで25mAならDCでは(0.7掛けて)17mA強。まあ、仕様は満たせそう。