ミキサーが欲しい

miniミキサーが欲しい

ちょっと前に、家の外に(ストリートで、と言う意味ではなく、実験室以外の場所と言うことかな?)複数のシンセを持っていって鳴らすために、MIDI の蛸足ともいえるMIDIスルーボックスを組み立てた。いわば、入力。で、これに対応して、というつもりも無くは無いのだけど、シンセの出力部分としてのオーディをまとめるためのオーディオミキサーを組み立ててみた。
実は、既成の素敵な奴は手元にあるのだけど、重い。めちゃくちゃ重い。やってみてわかったのだけど、(てか、何度もやってんじゃねーかなのだけど)ミキサーが重いのには理由があって、沢山のケーブルを接続すると、その重みで机の上からバンジージャンプをかます。ケーブルは床なのだから、まさに逆バンジー。
とはいえ、イベント会場に持っていくのには可能な限り重さを抑えたい。実用にするには、粘着式のマジックテープを手に入れて、机に貼り付けるとかしないとダメな気がする。

目指す性能としては、ライン入力専用で4ch程度。小さくて軽くて持ち運びができる。接続するパワーアンプは多分、先日完成したばかりの1WのD級ギターアンプだから、モノラル。MP3プレーヤーなどでバックトラックを流しながら、リボコンやギターを弾く感じ。AUXの出力をつけることで、なんとなくステレオにも対応ぐらいにしておこうかと思う。 ギターを直接突っ込むというシーンは殆ど無いだろうな、と思いつつも、どうせだから、ハイインピーダンスの入力にしてやろうかと。そんなコンパクトミキサーはあまり無いだろうなと。ライブイベント用なのだから、ライブでフェーダーの操作をするシーン名なんか無いし、基本的に、ミックスなんて奴は、音が一番でかい奴が勝ち。一番でかい音をちょいと絞れるような物で十分かなと。

基板製作のプロセス2 -Minimal Board Editor-

学生時代に当時パソコンのポルシェといわれていたマッキントッシュを手にいれて、MACユーザーであることに誇りすら感じていたのだけど、歴史的なOSのアップグレードの時、マシンのパワーが不足しがちで、マシンのアップグレードも必要になり、予算的な困難にぶち当たった。色々計算すると、新しくWindowsマシンを手にいれたほうが安価に自分の音楽ソフトを使う環境をアップグレードすることができる事が分かり、Windowsの軍門に下ることになった。いわば、「コロビマック」。今、ジョブスの写真を踏めといわれたら、「神はかくも過酷な試練を...」とか言うかどうかはわからないけど。
自宅で色々に使っているパソコンで、音楽ソフトが快適に使えなきゃダメが大前提とはいえ、他にも使いたいソフトが色々あって、古いマッキントッシュの古いOSでないと使えないソフトはいまだにMACで使っている。

この手の、まるで「ダケゲー」のようなソフトの代表が基板用CAD(MACのOsmond PCB)だったのだけど、遂に素敵なソフトとめぐり合えた。
知り合いはみんな、OSが最新ならMACでも使えるEagleに行っちゃったので、僕も..と思ってはいたのだけど、どうも操作が複雑で..。で、今、使い方練習してるのはこちら。Minimal Board Editor

MIDIスルーボックスを組み立てたときは、エッチングのプロセスを見直したんだけど、今回は、PCBパターンのデザインの大幅な見直しを図った。
基板の製作、ゆくゆくは工場に送ってやってもらうのがいいなと思っている。基本的には、PCB工場が受け付けるデータを出せるのが前提でCADソフトを探していた。工場に出すファイルを作るときには、基板のパターンのほか、穴空けデータとか色々セットになったガーバーファイルというのを作る。このソフトはこの形式にも対応してる。
とは言え、自宅で1発だけの工作も続けたい。と言うか、そっちのほうが圧倒的に多いはず。PCB を自家醸造する場合、基板に穴を開けるにはドリルを使うのだけど、このとき、穴サイズは、実際のドリルのサイズより小さく(僕は、0.5mmにしてみた)しておくと、エッチング終わったあとこの小さなポチが、センターポンチを打ったも同然に使える。経験の中からアレしたノウハウ。
自家醸造PCBの場合、1mm以下の細いドリルだと手先が不器用な僕の場合ポキポキ折れちゃうので、1mmのドリルを使っている関係で、部品をすえつけるランドのサイズを1.6mmにすると、穴のサイズが1mm、穴の周りの銅箔は0.3mm。穴の中には、スルーホールのメッキも無いので、コレでは部品を保持できない(気がする)ので、2mmとした。トレースも、引っ掛けてちぎれないように0.6mmじゃなくて1mm。pin間(2.54mm)に トレースは1本の通らない。長年使い慣れた蛇の目基板と殆ど同じ。工場に出すパターンと、自家醸造版では、色々細かいところをアレンジしたほうがよさそうだ。
このCADでは、部品データは、部品の形と、穴の位置、サイズを部品データとしてパックしたものを用意しておく必要があるので、自家醸造/工場に出す場合で別の部品データで起こしなおしになりそうだ。うまい事いかないもんかしら。
以下は、僕のPCBデザインルールに従った自家醸造用部品データ。とりあえず、部品はコンぐらいあれば、アナログシンセならデザインできそうという感じ。

まだ、改良の余地があって、どんどん更新予定だけど。
なんてな事を「阿部さんの会議室」に投稿したら、最近、-Minimal Board Editor- を使い始めたという「なお」さんから、ガーバーファイルを表示するビュワーソフトのプリントの機能に、「Center punch mode」というスイッチを使えばOKという情報をいただいた。これが、一般的な昨日なのかどうか、まだ、ガーバーファイルビュワーソフトを導入できてなかったり...。パターンの細さはともかく、センターポンチはこれでうまくいくかもしれない。
この基板専用CADソフト、Minimal Board Editor 、使いやすく機能がまとまっていて、使いやすいのだけど、自家醸造用のPCBパターンをプリントするには、PDFファイルに落として、ネガポジ反転してから、エッチングしなければいけない。プリントアウトに、ネガポジ反転スイッチあったらうれしいかもしれない。(とりあえず、基本的にはソース同梱のソフトなので必要な機能は自分で追加しろ、と言うことなんだと思いつつも、便利に使わせていただいているので、お礼と言うかフィードバックのつもりでソフトの機能追加のアイデディアです)

miniミキサー最初の版を検討してみる

Minimal Board Editorの使い方を練習するつもりでスタート。ミキサーの回路図を起こし、自前の自家醸造用のライブラリファイルを作りながら基盤を起こしてみた。あくまで基盤デザインの練習だったのだけど、ここまでくると、ちょっと組み立ててみたくもなる。実際、アートワークはじめてみると、回路の中にコンデンサが多すぎることに気が付く。回路図はこちら。

海外通販で手にいれた海外製のVR

このミキサー用に手にいれたVR、いつも使っている秋月のVRの3倍の値段(の割りにはチャチ...ってか、秋月が安すぎ!)の海外通販で手にいれた基板実装用の部品。アルプスの9mmサイズのとはちょっとサイズが違う。これにオフセットが乗った信号を入れて、経年劣化でVRにガリが出ないように、大事に使おうという意図でVRに乗るDCを丁寧にCで外してしまおうというのが狙い。文句あるかの正攻法。
基板デザイン、10mm のスペーサーでパネルに付けられるように、背が高いケミコンは基板の上で寝かせられるような配置を検討してみた関係で、とにかくスペースがとりにくい。電解コンデンサは全部で16個。うち2個は、電源のデカップリングだから標準品でOK(本当はここにこそ、OSコンとか立派な奴を使うべきだけどあえて、標準品なのは、サイズの問題)として、オーディオのラインに直列のは千石の1つ50円のオーディオ用のを使うことにすると、14 X ¥50ケミコンだけで、700円。
オペアンプは何でもいいはず。とは言え、4558とかだと、700円のコンデンサがもったいないかも。4580ぐらいはおごろうかな。。082を乗せて「ナンジャコリャー」と絶叫するのもあり。
でもね、なんだろうね、できるなら、信号系のカップリングのCは可能な限り外したほうが大人っぽいよね。直結こそ、男のロマンだよね。

で、いつもの通り、オッショさんが、こっそり、悪の経典を紐解いてくださった。
VR にDCが乗らないようにするには、CでDCを切るだけでなく、逆に、VRにバイアス掛けちゃう手がある。電位差がなければOK。で、上記の回路のチャンネルフェーダーのVRのグランドを全部、バイアス電位にしちゃうと、微弱にオフセット乗る可能性はあるけど、良い線いそう。ただ、C5が貧弱だと、抵抗2本で作った仮想グランド(バイアス)がふらふらと動いてしまい、特に低い音域ではゆすられちゃう。これが、チャンネル間のクロストークとして現れるに違いないとご教示いただいました。 逆に言えば、欠点と利点がはっきりして、欠点のフォローがちゃんとできれば、各チャンネルの頭の68nと、一番最後の10uFで済んじゃう。途中の経路の12本のカップリングのCを外せる。VR の寿命を引き換えに、ローコスト化できるという流れ。安価なメーカー製のミキサーは、この手のテクニックのオンパレードなんだろうなあ。回路としての興味とかあるけど、あえてやらないのが、DIYなのかななあとかとか。

miniミキサー第2版を検討してみる

なんてな事を「阿部さんの会議室」に投稿したら、今度は、「やすだ(や)」さんが、フォローくださった。

以前にも何処かで書きましたが、単電源で±を取りたい時に便利なICが出ています.
http://focus.tij.co.jp/jp/docs/prod/folders/print/tle2426.html

シリコンハウス共立では、
TLE2426CP(DIPパッケージ)と、TLE2426CLP(三端子パッケージ)の両方を扱っています.
http://blog.siliconhouse.jp/archives/51455478.html

乾電池動作のエフェクタやACアダプタでチョコっとオペアンプを実験する時に便利だと思います.
取り出せる電流には、注意ですけど.

一般にオペアンプを動かすときに使う仮想グランドは、抵抗で電源圧を分圧し、それに大き目のCを付けて交流的なインピーダンスを下げる。僕が最初に書いたバージョン。一歩踏み込んだテクとしては、分圧した抵抗をオペアンプのボルテージフォロワをつける。出力が、(電流を)引っ張られたり突っ込まれたりしても、オペアンプが入力の電位になるよう、能動的に変化して、いつも変わらない電位が出るので、変化の少ないグランドレベルを仮想的に作ることになる。いわばアクティブ式。一方、抵抗2本は成り行きで動作するのでパッシブ式と命名しておく。
このアクティブ式の仮想グランドをIC1発で済ませられるアイテムがあるっ!抵抗2本コンデンサ1発なら、足の数の合計は6本。3端子バージョンなら半分のPCBスペースで済ませられると。 一つでもでかいCを回路から外したいと考えていたのだから、これは渡りに船。「あえてやらないのが」、DIYの醍醐味。で、同時に「でも、やってみる」のも醍醐味。プロは、イヤイヤやるところでも、アマチュアは、楽しければどんな回路設計をやってもいい。アマチュアの特権。色々な人のアイディアをどんどん盛り込んで、試してみるのも楽しい。「We are not alone!」を実感する瞬間。
ポイントは、「やすだ(や)」さんが仰るとおり、電流をどれぐらい扱えるか、と言うことになりそうだ。TLE2426の仕様書に拠れば、吸出し吐き出しどちらも20mA。合計40mAまでの変動はOKと。 今回は、10mA流れるFETを4本使う予定だけど、これは、電源からグランドまでの間でのことで、仮想グランドからは電源を引かない。 仮想グランドにつながるのは、FETのゲートと、チャンネルフェーダーのVRのみ。この回路のFETは増幅率が無いので、チャンネルフェーダーR部分は、入力のライン入力レベル(2Vpp程度かな)の信号のアッテネート。最大で50kの並列(25k)に2V程度かかるとすると、0.08mA。4ch分でも0.32mA。FETのゲートは電流を引き込まない。接続する機器の出力インピーダンスに拠る。10k程度の出力インピーダンスだとすれば、振幅が2Vppなら、0.2mA。4ch合計で0.8mA。TLE2426の仕様は、軽くクリア。

FETのソースフォロワの動作と設計

このミキサーの特徴は、各チャンネルが、それなりに、高いインピーダンスで受けられるところ。
用途的には、ラインレベルなので、ラインレベルを出す機器は、ぞれぞれ、数十kの出力インピーダンスを持ってるはずなので、パッシブミキサーで十分なんだけど、あえて、入力インピーダンスは、高めにしておきたかったので、各チャンネルに、FETのバッファ(増幅率の無いアンプ)を入れてみた。
FETは、数年前に、ぺるけさんのヘッドホンアンプを組み立てた時にそれなりの数を手にいれて、選別した物の残り。東芝のFET、2SK170(仕様書はこちら)。 BLランクで10mA弱流れるもののつもりだったんだけど、使うつもりで準備していたFETをよくよくチェックしてみたら、秋月で安く売っている奴でGRランクだった。2.6mAから6.5mAのもの。まあ大体、真ん中ぐらいで、((2.6+6.5)/2=)4.55mA程度流れる前提で設計してみる。

この回路では、FETのソースのR3がミソ。
FET は、ゲートとソースの電位差で(トランジスタはベースとエミッタ間に流れる電流でだけど)ドレインソース間に流れる電流を変えられる半導体。この回路の場合、ゲートは、バイアスの、4.5V(9Vを半分にした電圧)に、1Mの抵抗で接続されている。FETのゲートは電流を吸い込まないし、C1でDC的にはオープン状態なので、ゲートの電位は、バイアスの4.5Vとなる。 で、注目のソース。ここが、もし、ゲートと同じ電位(VGS=0V)なら、このFETが流せるだけの電流(IDSS)が流れる。たとえば、4.55mAだとして、R3を1kにすると、(IxR=Eより、4.55(mV)X1 (k)=)4.55Vが出るはずだけど、ソースの電位は、ゲート電位をこえないので、 4.5Vしか出ない、-0.05V分、FETは自分の能力をロスってる。
ソースが、ゲートに掛かる電位と似たような電位が常に出てくる状態。あたかもゲート電位が自分の首を絞めるのだけど、死なない程度に自分の首を絞めている状態。強烈なネガティブフィードバック。
十分に、電流が流せるFET(ここでは、IDSSという数値)に十分な電位差が出る抵抗をつけてやれば、ソースの電位は、ゲートの電位と同じになる。さらに、ゲートがオーディオ信号が入って、変動すれば、これに合わせて、ソースの電位も動く。増幅率はなし。ゲートの電位変動がそのまま、ソースにでますので、ソースフォロワという訳だ。
というわけで、VRの両端の電位は、ほぼ一致しているので、VRにDCのオフセットが乗らないように付けるカップリングのCを省略して、部品点数を減らすことができる。

この設計では、「FETは4.55mA流す」という前提で設計したけど、実際にはFETが流せる電流は1本づつそれぞれに違う。仕様書でチェックした通り、2.6mAから6.5mAのばらつきがある。 ここでは、DIYの強みを生かした、ぎりぎりのおいしいポイントを引き出すの設計で、一切のマージンはない。実際に無調整/無トリミングで組み立てるのなら、FETのばらつきなどを考え、1kではなく、2k程度にするべき。おいしいポイントがずれていると、早くクリップしちゃうので、出力のDレンジが狭まる。
ここでは、9VのACアダプタ専用の設計だから、どうずれてもラインレベルの2Vpp程度ならば、クリアできるはず。5Vとかの電源で、バイアスが2.5Vとかだと、かなり注意が必要。 例えば、FETを2SK30ATMなどに変える場合は、FETが流せる電流をチェックして、R3の値を適宜修正すれば、OK。

実装

miniミキサーが欲しい

机上の理想論と、現実の厳しさに直面する瞬間が実装。
CADの使い方にもソコソコ慣れてきて、実際に部品出してきて、並べてみたら、基板に直付けするタイプのACアダプタのジャックの高さが、12mm。うー、ケミコンを立ててつけるときと同じ高さ。何のために、ケミコン寝かせるためにスペース確保しようとしてたのか...さすがに、ACアダプタジャックを寝かすのにはむりがある。
ケミコンの場所を確保するために、横に、2.54mm大きくしたら、ケースと同じサイズになってしまって、ケースの蓋を取り付けるねじがACアダプタの横にぶっつく。
実際に組み立ててみて気が付くポイントがいくつかあって、PCBパターンもそれなりに修正した。特に、マウントホール(ケースにねじ止めするための基板にあける穴)の位置はケースの加工図面とあわせて微妙に難しい。
ナントカ組み立てて最後に、「ウフフ、良い音ニナアレ!」と、4580DDを付けたら、1.数MHzで発振。100pでも80MHz程度。泣きながら、330pの発振止めのCををR6,R8に並列に基板の裏にハンダ付け。

評価

パッシブ仮想グランドで、すべてのチャンネルフェーダを0、マスターも0にしたときの出力

TLE2426は手配したけど、届くまで若干時間が掛かったので、抵抗2本(1k)と100uFで作ったパッシブの仮想グランドの動作も見てみた。図は、パッシブ仮想グランドで、すべてのチャンネルフェーダを0、マスターをフルにしたときの出力。すべてのグラフはクリックで拡大することができる。
入力は、2Vppの1kHzのサイン波。この状態でチャンネルフェーダーを最大にすれば、グラフの-3dBぐらいまで触れるように、パソコン側のレベルを調節してある。
今回の設計はチャンネルフェーダーをくぐる前に、回路全体で部分的には最大の電流を消費するFETが入っている。これが、なにも音が出てないはずの状態にもかかわらず電源圧に影響を与えて、それが、出力にもれている状態。
実際は、オペアンプには、電源の変動などものともしない性能として、PSRR(Power Supply Rejection Rate)という性能がある。たとえば、LM358の仕様書なら3ページ目に、100dBとある。電源の変動が1Vあったとすると、それの1万分の1までその影響を抑えちゃうという物。内部では差動で動いているからなのだけど、ちょっとすごい。

アクティブ仮想グランドで、すべてのチャンネルフェーダを0、マスターも0したときの出力

とはいえ、これ、基準の電圧に対してということで、今回はその基準となる仮想グランドの電位がふらふらと動く。PSRRによる、電源の変動に対する対応は期待できない。これが、-100dBの漏れになって見えているということだ。
一方、こちらは、新兵器、TLE2426を配備したときの同様のチェック。一応、ソレらしき漏れはみえるけど、他のノイズのレベルとそんなに変わらない。むしろ、低域のノイズのほうがでかいかもしれない。実は、これ、要チェックポイント。大容量のケミコンを入れなかったせいで、低域の安定性が今ひとつ。むしろ、ノイズレベルのフラットネスさでは、パッシブのほうが有利かもしれない。 どちらにしても、-100dB以下の世界の話で、人の耳には聞こえないし、16Bit程度で表現できるノイズレベルの限界(-96DB)を超えた世界。

パッシブ仮想グランドで、すべてのチャンネルフェーダを0、マスターをフルにしたときの出力

さて、マスターだけ、ボリュームを最大にしてみよう。まだ音は出ない。けどもれてる。これは、オペアンプのノイズが見えてる状態。
一般にミキサーを設計する際、入力から出力までの間に扱う信号レベルが銅変化していくかと言う「レベルマップ」と言うものを作り、回路全体でクリップする場所が無いように設計していく。 今回は、

    ヘッドアンプ->フェーダー->サミングアンプ->マスター
というシンプルな設計で、ゲインがあるのは、最後のサミングのみ。ここで、不要な増幅率で、クリップさせなければ問題ない。 一昔前のアナログな業務用のミキサーには、アウトボードを接続のために、不要なSNの劣化を防ぐために必ず、マニュアルの一部としてこの「レベルマップ」が含まれていた。
一般的な設計としては、フェーダーで-6dB、マスターで-6dBのロス(というか、幅?)をつけると使いやすいかもしれない。トータルで+12dB(4倍)のゲインを持たせればよさそうだが、僕の設計では、でかい音のレベルを絞るのに使うというコンセプトなので、マスターフェーダーで、若干の余裕を持たせればは、OKということで、2倍(6dB)強程度の増幅率にした。4倍にするには、R4,R6とR5,R8の比率を変えればいい。R4、R5は下げすぎると、チャンネルフェーダーの動作に影響が出る。僕は手に入ったVRがBカーブだったので、Aカーブ的な動作にずれるのを期待して、あえて下げすぎの値にしてある。50kのAカーブが手に入れてR4、R5は大きめにしてVRのカーブを生かすべき。
アクティブ仮想グランドで、すべてのチャンネルフェーダを0、マスターをフルにしたときの出力

R6、R8(に限らず、この辺の抵抗は)は大きくしすぎると、不要なノイズが増える。ここでは増幅率は数倍なので問題ないが、でかくなってくるとSNを落とすことになりそうだ。もっとも、電源圧が9Vだから、2V突っ込むつもりなら4倍は8V、入力レベルから見直さないと使うオペアンプによっては歪む。
アクティブ仮想グランド、パッシブ仮想グランド版、それぞれ、オペアンプに設定した増幅率分だけ(10dB弱)ノイズと、入力のもれが増えている。
注目すべきは、アクティブ仮想グランド。ギターなどではメインの音域になる5k以下ぐらい、ノイズが+20dBぐらい増える。まだ、-90dB以下程度。このミキサーでは問題にはなら無そうだけど、ディストーションとかで数百倍の増幅率をつけると、ちょっとSN悪い感じが聞こえてきそうだ。

パッシブ仮想グランドで、1chに信号をいれ、空の2chのフェーダーをフルにしたときの出力

さて、マスターだけ、ボリュームを最大で、音が入ってないはずの2chのフェーダーだけフルにしてみる。隣のチャンネルに入ってる音がこちらに漏れてくる(クローストーク)かどうかを見るテスト。盛大にもれてる。さすがにこれだけもれると、ヘッドホンのボリュームを最大にして耳を済ませると聞こえる。ちなみに、2chのフェーダーを下げて、3ch、4chのフェーダーを上げると、これほどはもれてこない。どうやら、信号が入る経路に近いかどうか、のようだ。入力インピーダンスを不要に高めにしたツケが回ってきたかたち。テストで、アナログシンセの入力を直接突っ込むとか言うシーンがありそうだというのが、入力インピーダンスを上げたかった根拠なんだけど、ちとやりすぎたかもしれない。
これの対策としては、基板を大きくして、物理的な距離を稼いだり、ベタを増やして基板をシールドするのだそうだ。
出来上がったメカの蓋しまらない、という逆境にもめげず、しまらなかった蓋はしない。綺麗にできた基板が見えるように、別にシースルーなアクリルのパネルを付けて、サイドには、ちょっとした木片を両面テープで貼り付けて、とか妄想していたのだけど、メタルの蓋をしないと、ノイズ飛び込みまくりになりそうだ。

アクティブ仮想グランドで、1chに信号をいれ、空の2chのフェーダーをフルにしたときの出力

PCBスペース的には圧倒的に有利。消費電流的には、4.5mAのFETが4本と、9Vに1k2本で作った仮想グランドが4.5mA、オペアンプの基礎代謝に、数ミリでトータル28mA程度のパッシブ式に対して、24mA程度のパッシブ式。トランジスタ型の小さいICとはいえ、内部にはオペアンプが1発入っているに違いない事を考えると、そんなに減らないのも不思議ではない。トータルでは、ノイズ面ではちょと不利。
今回は、PCBスペース確保のために、3端子レギュレーターサイズのTLE2426を使ったけど、同じ型番で、8Pin Dipタイプの物も出ており、これには、ノイズサプレッサという端子が付いている。抵抗2本で作る仮想グランドには必ず入れる大き目のパスコン、じつは、アクティブ式にも必須にちがいない。オペアンプそのものは、PSRRという性能で電源のノイズに強くても、その電源を分圧して入力する信号を作っているのだから、電源がクリアでなければ、そりゃ、その出力も汚染されちゃう。8PinのDIPを乗せるのなら、普通のオペアンプとそんなにかわらないじゃん!な世界。回路の都合で1回路余ってるときには迷わず、ボルテージフォロワにするのが正解なきがする。40mAはともかく、20mA程度なら、大抵のオペアンプでもクリアできる。
仮想グランドとしてのタフネスは信頼できるけど、電源そのものを工夫してやらないと、ノイズに悩まされる可能性があるという感じかしら。一方、パッシブの仮想グランドは、ノイズ的には有利なのはちょっと驚きかもしれない。

最終的には、オペアンプのキャラと、カップリングのCでずいぶん変わるはずだ。4580と、千石通商でかえる、東信工業の音響用ハイグレード ( Audio 用 )を付けてモノラルだけど、いつも聞いているCDを1枚最後まで聞き続けられる程度の音は出た。(頭の680nは、0.1uFの無名の積層フィルムコンデンサに付け替えた)
そういえば、このテキストを書いてる最中に、知り合いが素敵なドキュメントをTwitterでご紹介くださった。

それなりの電源がいつでも手に入る自分の実験室で動かすだけでなく、外へ持ち出すメカを考えると、ACアダプタで動かす単電源は、これからも増えそうだ。高品質なシリーズ電源は重い。安価で、軽いスイッチング式のACアダプタを上手に使いこなすテクニックの開発が必須かなあ..。

おまけ

その後、ちょっとづつ、ライブラリを増やした。工場に依頼する前提で、ルール的には、スルーホールの 0.9mm穴、1.6mmランド、トレース0.6mmの版。

追記-2011/2/21